笑い話 落語 ① 鳥インフルエンザ
- white-eagle1958
- 2020年12月25日
- 読了時間: 3分
更新日:2020年12月29日
2020.12.25
・大家さんと八つぁん、熊さん
小春日和の昼前、大家さんがいつもの様に縁側でお茶をすすっていると、これまたいつもの様に、八つぁんと熊さんが慌てた様子で駆け込んで来ました。
「大家さん、てーへんだ、てーへんだ」
「なんだい、まったく騒がしい。どこのイノシシが飛び込んできたのかと思ったら、八つぁんに熊さんじゃあないか。どうしたい、今度は庭に飛行機でも落ちたのかい?」
「大家さん、冗談はよしてくださいよ。それにイノシシはひでえや」
「お前さんたちは、熊さんが川に落ちても駆け込んで来るからなあ」
「あんときゃあ、こいつはおいらを置いてけぼりにしやがったんでさあ。酷いやつですよ。まったく」
「仕方ねえだろ、俺は泳げねえんだ。だから大家さんに駆け込んだって訳で」
「あそこからここまでどれ位あると思ってんだ」
「んーと、20分位かな?・・・」
「おいら死んじまわあ。幸い通りがかりの人に助けてもらったから良かったものの」
「助かったんだから、良かったじゃあないか」
「このやろー、いけしゃあしゃあと抜かしやがって!」
「およしよ、2人とも。私に話があるんだろ?一体何があったんだい?」
「・・・・・・忘れた。八つぁん何か覚えてねえか?」
「・・・・・・あっしもだ」
「おいおい、何しに来たんだい?2人とも。呆れるねえ、どうも」
「そうだ、思い出した。インフルエンサーだ」
「インフルエンサー?乃木坂46の?」
「乃木坂46?違う、違う、何言ってんだ、大家さん」
「熊さんが余計な事を言うから。それを言うならインフルエンザだろ、しかも鳥インフルエンザ。しかし、大家さんも若いねえ・・・年に似合わず」
「余計なお世話だよ、八つぁん。で、鳥インフルエンザがどうかしたのかい?」
「今、巷で鳥インフルエンザが流行っているのは、知ってんでしょ?」
「馬鹿を言っちゃいけないよ、熊さん。世の中の事なら、お前さんの尻に青あざがある事まで知ってるよ」
「大家さん、そりゃ関係ねえだろ?そんな事言わなくったって」
「で、鳥インフルエンザがどうしたんだい?」
「それなんですがね。こいつがどうしても分かんねえ事があるってんで、こうして2人でやって来たって訳で・・・」
「一体何が分からないと言うんだい?八つぁん」
「いえね、鳥インフルエンザは野鳥が原因というんでしょ?」
「そうだな、新聞ではそう書いてあるな」
「でね、鳥インフルエンザに罹った鶏は、健康なものまで全処分、しかし原因の野鳥の方はまったくのお咎めなしってのは、どうにも解せないんでさあ。大家さんはどう思います?」
大家さんは顔色を変えました。
「お上の事に余り口をだすんじゃあないよ。八つぁん、ロクな事がない」
「だっておかしいじゃねえですか。野鳥の方はまったくのお咎めなしってのは。それに妙な噂を聞きやしてね・・・」
「なんだい?妙な噂ってのは?」
「それが・・・大きな声では言えねえんで・・・」
「お前さんの声は、電車が通るガード下でも聞こえるからなあ」
「からかっちゃいけませんや、大家さん。ジェット機じゃああるめえし」
「それでは、小さな声で言ってごらんよ」
「へえ、それじゃ、・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「黙ってちゃ分からんよ」
「いけねえ、口を利くのを忘れてた」
「何をやってんだろうねえ、この人は」
「じれってえなあ、八つぁん。おいらが代わって話すよ。実は大家さん、選挙が近くなると鳥インフルエンザが流行るってんですよ」
大家さんの目つきが鋭くなりました。
「お前さん、それを何処から聞いた?」
「街ではその噂で持ち切りですぜ。どういう事なんですかねえ」
「選挙資金作りだな・・・」
「まさか?どうやって?」
「健康な鳥をただで仕入れて売ったらどうなる?」
「そりゃ、ガッポリ大儲けって、それじゃ!」
「そういう事だよ、お二人さん。豚コレラや口蹄疫も同じかな」
「ひでえことしやがる・・・」
「いいかい?お二人さん、この事は他言無用だよ。ましてや鳥やさんに言ってはいけない」
「なんでまた?」
「トサカに来るから」
お後がよろしいようで・・・
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