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笑い話 カミの味噌汁

  • white-eagle1958
  • 9月13日
  • 読了時間: 3分

2025.09.13


大家さんが何時ものように縁側で煙管を吹かしていると、そこへ熊さんが沈んだ顔をして入って来ました。

「どうしたい?熊さん、今日はやけに浮かないじゃないか。また女房に逃げられたのかい?」

「実は、今度で3度目でって話。じゃねえですよ」

「するってえと、何かい?かみさんの顔が大地震の直撃くったとか?」

「ひでえなあ、からかわないで下さいよ。こっちは真剣に悩んでいるんだ・・・」

「そりゃあ悪かったなあ・・・お前さんが悩むなんてお前さんが嫁取りする時以来だ・・・

判った、新しい妾でも作る気か?やめとけ、家庭騒動の元だ」

「そうじゃなくって。そんな事が在ったら、あっしは女房に殺されちまわあ。違うんですよ・・・」

「じゃあ何悩んでるんだい?いつも騒がしいお前さんがそんな顔をしていると、天変地異の前触れじゃないかって気になるよ」

「だから天変地異じゃねえですって・・・大家さん、カミの味噌汁って聞いた事有ります?」

「カミの味噌汁?はてね、なんだそりゃ・・・」

「いえね、あっしの棟梁が言ってたんですがね。あっしには何の事だか福山雅治ってんで」

「福山雅治?お前さん何言ってんだい?」

「さっぱり訳が分からない」

「こっちもだ・・・」

「で、物知りの大家さんに聞きに来たんでさあ」

「そう言う事かい」

「で、カミの味噌汁って何なんでしょう?」

「そう藪から棒に言われてもなあ・・・カミの味噌汁ねえ・・・

お前さん、まさか神社のお供えの味噌汁をくすねて飲んだんじゃあるまいな?罰当たるぞ、そんな事すりゃあ・・・」

「と、とんでもねえでさあ。幾らあっしでもそんな事しませんよ」

「するってえと、お前さん、かみさんの味噌汁を横取りしたな?黙って飲んだのか?そりゃあ、かみさんが怒って当たり前だ、よく無事で居られるな」

「違いますって。そんなことすりゃあ、あっしが家に帰れなくなるじゃねえですか。そんな事しませんよ」

「じゃあ、具が紙切れだったのかい?そんなのが在るとは思えんが・・・」

「大家さん、あっしはヤギじゃねえんで」

「もしや、お前さん、将軍様の味噌汁に手を出したんじゃあるまいな?何てことしたんだ、それじゃお奉行様にお縄になるじゃないか。大丈夫だ、お白州には行ってやるから」

「八丈島送りですかい?勘弁して下さいよ。そんな事しませんって」

「う~ん、それじゃあ味噌汁に髪の毛が山ほど入っていたとか・・・」

「それじゃあ貞子の味噌汁だ。やめて下さいよ、まったく」

「・・・その時棟梁は何て言ってたんだい?よ~く思い出してごらんよ」

「・・・だからカミの味噌汁って」

「その前から思い出してみなさいよ、一体なんて言ってたんだい?」

「ですからね、最近物騒な事ばっかり起きるじゃねえですか。ストーカー殺人とか。

だから棟梁に言ったんですよ。この先どうなっちまうんですかねぇって。そしたら棟梁がカミの味噌汁って・・・」

「・・・判った。熊さん、それは味噌汁の話じゃないな。棟梁はこう言ってたんだよ。

神のみぞ知るって」

お後がよろしいようで・・・






 
 
 

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