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子供達へのお話 物覚えの悪いサンタさん ④

  • white-eagle1958
  • 10月20日
  • 読了時間: 2分

更新日:10月25日

2025.10.20


旅立ちの時が近づいて来ました。日差しは暖かく、風も穏やかです。

サンタさんの家では、おばさんが忙しく動き回って居るようです。

白髭のお爺さんは厚手のコートをはおり、ソリに載せる荷物を点検しています。

「よ~し。これで全部揃ったな。後はないはずだ・・・と、カバンがない」

お爺さんが家を振り返ると、そこにはカバンを抱えたおばさんが立って居ました。

「はいはい、これですね」

おばさんはにこやかに笑うのでした。

「いつもながらすまんな。後は、ノースとサーミの2頭だけ、あ、来た来た」

落ち葉を踏みしめる音を聞きつけたお爺さんは、森に続く道を見つめるとそこに2頭のトナカイが並んで歩いて来るのが見えました。大きい方がノース、それより一回り小さいのがサーミです。

「あるじ、ただいま到着」

「来ました」

「待ってたよ。早速だが出発だ。こっちへ来てくれ、ソリに繋ぐから」

お爺さんは、2頭のトナカイをしっかりとソリに繋ぎ合わせました。

「これで良しと・・・じゃあ行くか」

お爺さんがソリに乗り込むと

「ちょっと待って。これ持ってかないと」

おばさんが毛糸で編んだ帽子をお爺さんに手渡しました。

「上空は寒いでしょ」

「そうだった、此れが無いとな。耳が痛くなる。有難う」

「そのコートで大丈夫?」

「平気だ。真冬よりましさ。じゃあ行ってくる」

お爺さんはおばさんを引き寄せると優しくキスをしました。そっと離れて前を向き、手綱を握ると

「ノース、サーミ。行こう。出発だ」

おばさんが片手を振る中、そりは森へと続く道を静かに滑り出しました。

次第にスピードが増していき、お爺さんの白髭とコートが風になびき始めると、ソリは浮かび上がって行きました。すぐに眼下に赤や黄色に彩られた森が見えました。

「ノース、サーミ。家を一周だ。大きくな」

「あるじ、了解」

2頭は大きな弧を描き始めました。

紅葉の森の中の一軒家。その庭先でおばさんが大きく手を振って居ます。

少し離れたトナカイ小屋では、お留守番役のトナカイ達が、こちらを見上げていました。

ヤンマーとカイヌーは、駆けまわって遊んでいます。

「さて、行くか」

そう言うと、お爺さんは手綱を波打たせました。

ノースとサーミが大きく足を伸ばして駆け出すと、サンタさんの森が見る見る小さくなって行きました。









 
 
 

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