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子供達へのお話 物覚えの悪いサンタさん ㉔ 

  • white-eagle1958
  • 1月3日
  • 読了時間: 6分

更新日:1月4日

2026.01.03


脅しと暴力の国の軍事基地には、その後も続々とサンタさんの仲間が鈴の音と共にやって来ました。ヤコブ、ヨハネ、アンデレが続き、マリアとテレサと共に残った重装歩兵達を相手にしました。その途中、シモン、ルカ、マタイ、トマスが到着し、あっという間に基地には誰も居なくなりました。

「これで終わりだな」

誰も居なくなった基地を見回し、シモンが呟きました。

「皆、良く来てくれた。御蔭で助かった。礼を言う」

ニコラスは仲間のサンタクロース達に深々と頭を下げました。

「水臭いんだよ、ニコラスは」

「忘れただなんてすっとぼけやがって・・・」

「ホント、私達にまで黙っているなんて、どう言う事?」

「もっと私達を信頼して欲しいものだな」

「結構役に立つよな?俺達」

ヤコブ、ヨハネ、マリア、ルカ、マタイが口々に不満をぶつけました。

「悪かった。余計な心配を掛けた。重ねて礼を言う」

「・・・もうじきバルトロマイとフィリポも来る。子供達も一緒だ」

トマスがニコラスに告げました。

「そうか・・・無事だったか・・・良かった・・・」

「で、この後どうするの?言ってよ。サッサと片付けましょうよ」

マリアがニコラスに言いました。ニコラスは皆の顔を見ながら

「倉庫や他の格納庫に在る物を全部持って行く。基地内もな。皆よろしく頼む」

「割り振りは?」

「そうだな・・・倉庫は3名づつ、第一倉庫はヤコブ、ヨハネ、アンデレの3人で。第2倉庫はシモン、ルカ、マタイの3人。基地背後の格納庫は、トマスとパウロとユダの3人。

残りのマリアとテレサ、ペテロは基地内を捜索してくれ。私はバルトロマイ達を待つ。

では、皆よろしく頼む」

そう言うとニコラスは再び頭を下げました。それを見た仲間たちはそれぞれに持ち場に散って行きました。


フィリポがやって来たのは、もう朝日がすっかり上った後でした。フィリポはニコラスの顔を見るなり

「まだ生きてたか、ニコラス。死んじまったのかと思ったぞ」

「相変わらず口の悪い奴だ。フィリポ。まだ生きてるよ」

「リューリク少年から聞いた。大変だったな・・・」

「まったくだ。こう言う事は一人でやるものではないな・・・」

「皆はどうしてる?」

「最後の後始末をしてるところだ」

「私も手伝おう」

「いいのか?」

「もちろん」

「では、基地内の捜索を手伝ってやってくれ。頼む」

「任せて置けって」

そう言ってフィリポは基地へ向かっていったのでした。

バルトロマイ達がやって来たのは、それから約1時間後でした。遠くから聞こえる鈴の音が彼の到着を告げていました。


「サンタさん、無事かなあ・・・」

アーリャはサンタさんとの別れのシーンを思い出し、呟きました。膝を抱えたまま・・・

クリスマス当日の朝日が、目に眩しく映ります。ソリは基地目指して飛んでいました。

「あそこだな、皆もう着いているようだ。集まっている」

基地内に幾つも止まっているソリと、幾つかのサンタ服を目にしたバルトロマイは、そう2人に言いました。

「サンタさんは?」

アーリャとリューリクはソリから身を乗り出して前方の基地を見ました。

「ニコラスなら無事だよ。連絡は受けている。ほらあれがニコラスだ」

見ると基地内で手を振っているサンタクロースが居ました。アーリャは胸がいっぱいになりました。リューリクは何も言わず、基地を見つめています。

ソリは次第に高度を下げ、やがてサンタクロース達がいる基地内に滑り降りました。

「サンタさーん!」

アーリャはソリがまだ停まるのももどかしくソリから降り、ニコラスに飛びつきました。

「アーリャ、無事だったか。心配した・・・」

サンタさんは優しくそう言うのでした。アーリャは涙が止まりませんでした。


「これで全員そろったわね。そろそろ退散しましょ」

テレサが大袋を担いで言いました。

「随分稼いだなあ。これで当分安泰だな」

「大漁よ、大漁。何せ基地に在る武器兵器一切持ってきたから・・・」

ユダの冷やかしにテレサは満足げに答えるのでした。

「それはそうと兵士たちはどうするの?」

「いけない。それを忘れてた・・・」

マリアの眼差しに、ニコラスが応じました。

「彼等はここへ置いて行く。皆そうしてくれ」

「異物排出ね。ニコラスならそうすると思った」

「異存なし」

他のサンタも口々に賛同し、皆それに従いました。

「では始めるぞ。異物排出」

そう言って、大袋の口を開け紐をメモリに合わせると、低い振動音がし袋から次から次へとパンツ姿の兵士たちが飛び出して来たのです。

他のサンタさんも同様にした為、駐車場がパンツ姿の兵士たちで一杯になりました。

彼等は自分に何が起きたのかさっぱり理解できず、右往左往するばかりでしたが、外の寒さに耐えきれなくなったのか、逃げる様に基地に駆け込むのでした。

その様子を見ながらニコラスは

「皆、帰るぞ。全機発進!ノース、サーミ出発だ」

と号令をかけ、たちまち空に舞い上がって行きました。他のサンタさんも後に続きます。

やがて14両のサンタのソリが、空に鈴の音を響かせ雁形陣を作って飛んで行きました。

その途中

「ペテロ、パウロ、私はこの子たちを送ってから帰る。後を頼む」

2人は大きく頷くと、片手を上げるとサンタさんのソリは、群れから離れて行きました。

「アーリャ、リューリク、君達へのプレゼントがやっと渡せた。受け取ってくれ」

サンタさんが微笑むと

「サンタさん、ありがとう・・・」

2人がそう言い、共に笑顔になりました。ソリは2人の家に向かって山を越えて行きました。


サンタさんが自分の家に着いたのは、もう日暮れ間近の頃でした。皆倉庫の前に集まって居ます。外には軍用車と軍用トラック、そして戦車が列をなして並んでいました。

「よう、お帰り」

「お疲れ様」

「こっちもやっといたからな。大変だったけど・・・」

皆労いの言葉をニコラスに掛けると、ニコラスはホッとした表情を見せました。そして倉庫の中に入ると、ペテロとパウロが待っていました。

「付き添いご苦労様」

「こっちはご覧の通りだ・・・」

「これは、凄い・・・」

それもそのはず、倉庫の中にはヘリコプター、戦闘機が整然と並び、脇には武器弾薬、爆弾が所狭しと積まれていました。

「所で、此れどうする?」

「そうだな・・・鉄屑屋にでも売るか。来年の資金にでもしよう」

「それが良い」

「賛成だ。来年は大量プレゼントだな」

そう言ってるとマリアが顔を覗かせ

「居た居た、皆食事よ。今晩はターシャ特製のシチューだって」

「それはありがたい」

「さすがに腹が空いた」

サンタさん達はそう言って倉庫を後にするのでした。


この物語を世界中の子供達に捧ぐ










 
 
 

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