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子供達へのお話 物覚えの悪いサンタさん ⑱

  • white-eagle1958
  • 2025年12月21日
  • 読了時間: 3分

2025.12.21


「そろそろ時間だ。此れから皆に鈴を付けるからな。それで準備は終わりだ」

サンタさんは、既にソリに繋がれた8頭のトナカイ達に言いました。

夜も更けて辺りはうっすらとした雪に覆われています。湖の周辺にも雪が積もった様でした。トナカイ達は吐く息も白く、じっとしていますが、焚火に照らされその姿が浮かび上がっている様でした。その中をサンタさんが一頭、一頭、回りながら鈴を付けて行きました。

鈴の音がしんとした森の中に響きます。最後のトナカイ、カイヌーに鈴を付け終わるとサンタさんは首を撫でながら言いました。

「カイヌー、此れから大仕事だ。寒くはないか?」

「大丈夫、走った方が暖かいよ。早く行こう」

「頼もしいな。ではそうしよう」

サンタさんはソリに乗り込み、手綱を握りました。そして頂上付近が見えなくなっている山を見つめ

「山の向こうは大雪だろうな・・・では発進」

手綱を揺らすと8頭のトナカイが一斉に走り出しました。粉雪が時折流れて舞う中、ソリは走り出し、トナカイの鈴の音を響き渡らせながら、浮き上がりました。

やがてソリは小さくなる鈴の音と共に、山の向こうへと消えて行きました。


サンタさんが着いた頃、街は寝静まり、降りしきる雪に覆われていました。街の灯りが雪でぼやけて見えます。サンタさんは前を指差し

「ノース、サーミ、あの時計塔の上で止めてくれ」

と言いました。

「了解、あるじ」

「わかった」

ソリは鈴の音を軽く響かせながら時計塔へ行き、その上空で止まりました。時計塔の針は、12時少し前でした。降りしきる雪の中、サンタさんは立ち上がり、ポケットからカギを取り出し、楽団指揮者の様にカギを振り回し始めました。するとどうでしょう。町中の家のドアのカギがあき、戸が開いたのです。

次にサンタさんは5つの大袋の閉じ紐を次から次へと引っ張ったのです。

次の瞬間、大袋の中からプレゼントが飛び出し、空中に浮かびました。そしてサンタさんを囲むように輪になりました。サンタさんが再びカギを振り回し始めると今度はプレゼントがサンタさんを中心に回り始めたのです。カギを振り回す度に回転は次第に速くなり、舞い上がって行きました。回転するプレゼントが頭上高くなった時、時計塔の鐘が12時を指し厳かに鳴り響きだしました。サンタさんは深々と頭を下げ、両腕を上で広げこう叫んだのです。

「子供達へ。メリークリスマス!」

その言葉が終わるや否やプレゼントがまるで花火が様に散って行きました。そして家々の開いた戸にプレゼントが飛び込んで行きました。サンタさんは大きく白い息を吐くと、ソリに腰を下ろしました。

「終わったね、あるじ」

ノースがそう言うと、サンタさんは遠くを見つめて呟いたのです。

「いやまだだよ、ノース。まだ仕事が残っている。あと一つな。そいつを片付けるぞ、ノース、サーミ、みんな。行く先はアーリャの家だ」

そう言って手綱を揺らしました。

「了解、あるじ」

「みんな、行くわよ」

サーミの声に皆嘶くと、ソリは降りしきる雪の中、再び鈴の音を響かせながら、山の中腹へ向かって飛んで行きました。






 
 
 

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