子供達へのお話 物覚えの悪いサンタさん ①
- white-eagle1958
- 10月15日
- 読了時間: 2分
2025.10.15
クリスマスが近づいた頃、今年もまたサンタさんの家では大忙しです。
「お~い!メモ、メモ。次のメモは何処行った?困ったぞ、何処へ置いたか忘れてしまった・・・」
「はい、はい、貴方がお探しのメモは、此処に在りますよ。全く何でも置き忘れるんだから・・・」
エプロン姿のおばさんが、メモの束を手渡すと腰に両手を当てて言いました。
「有難う。此れが無いと仕事に成らん」
小太りのお爺さんは、嬉しそうに眼を細めました。
「どう?仕事の方は?順調に行ってる?」
「今年は特に大変だよ。戦争も起きているしな・・・」
お爺さんは遠くを見つめる目をしました。
「そうね・・・出来るだけ多くの子供達にプレゼントしなくてはね・・・」
「そうだな・・・そうするよ」
「急がないとね、手がお留守に成っていますよ」
「そうだった、そうだった」
お爺さんは、再びメモをチェックし始めました。すると
「いけない、抜かったぞ。困った、どうしよう・・・」
お爺さんは急に声をあげました。
「どうしたの?急に大声出して・・・」
おばさんがお爺さんの手元をのぞき込みました。お爺さんはしょぼくれた顔をして
「まずった、この子、何が欲しかったのか、書くのを忘れた・・・名前と場所しか書いてない」
「またあ?貴方しょっちゅうそれだから・・・」
おばさんはあきれ顔。
「で、どうするの?また直接聞きに行くの?」
「ん~っ。そうするしかないなあ、まだ日にちあるし・・・」
「残りの分のチェックはどうすんのよ」
「済まないが、君に頼むしかない。それとチェックが済んだ分から発送準備も頼むよ」
「はい、はい、いつもの事よね」
「すまんな、君も忙しいのに・・・」
「大丈夫、友達知り合い総動員するから。まかせて」
「わるい、礼はする」
「当てにしないで、待ってますよ・・・で、その子、何処の子?」
「え~と、森と湖の国のリーニャだ」
二人は同時にメモを見つめました。
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