大人達への物語 ここに愛は在りますか? ④
- white-eagle1958
- 2月1日
- 読了時間: 3分
更新日:2月10日
2026.02.01
視界を埋め尽くす瓦礫の山。そこら中に人々の生きた営みを示していたものが、ゴミ屑と化し散乱しています。マイケル少年はその余りの惨状に声を失っていました。
その頭上を耳を劈く程の爆音と共に、戦闘機が何機も通り過ぎて行きます。
その戦闘機は、此れでも破壊が足りないと言わんばかりにミサイルを発射し、建物を瓦礫に変えていました。ミサイルが命中する度に、腹に響く爆音と赤い閃光と土煙が立ち昇ります。
「何て所だ。此処は・・・」
マイケル少年はそう呟くと、街全体を見ようと瓦礫の山を登り始めました。途中、下敷きになった人の腕に遭いましたが、既に何の反応も無くどうしようも有りませんでした。
沈む気持ちを抑えようも無く頂上に辿り着き、街を見渡すと不思議な光景に出会いました。
瓦礫の山の彼方に教会と思われる建物が在り、その一角だけが破壊から免れていたのです。
それは砂漠に咲く、一輪の花の様でした。
「あそこに行ってみよう」
マイケル少年はそう言って、山を降りて行きました。
教会の中は、避難民、傷病者で一杯でした。皆疲れ切っていて、僅かな空間を分かち合うかのように身を寄せ合っていました。その中で一際大声の神父が居ました。
「医者、医者は居ないか?看護師もだ。手伝ってくれ。手が足りないんだ」
一人の老人が手を挙げました。
「私も医者だ。元だがね。此れでも何かの役には立つだろう」
「私も手伝うわ。じっとしてなんかいられない」
「助かる、経験は或るのかい?」
「ないけど、猫の手よりはましでしょ?」
「・・・・・・こっちに来てくれ。私の部屋を医務室代わりにしている」
神父は2人を連れて、礼拝堂を出ました。時折爆音と振動が教会を襲います。
「あなた、神父さん?」
髭もじゃで中年は超えていそうな神父に、目の光が強い30代女が尋ねました。
「そうだ。此処に来て10年以上になるがこれ程酷い状況になるとは思いもしなかった・・・」
「名前は?私はフィラスティーン」
「フィラスティーン・・・良い名だ。私はマフムード。そちらさんは?」
神父が老人に声を掛けました。
「私か?私はダウラト。隣町に住んで居た。何もかも破壊されてな。家族もどうなったか判らない。消息だけでも分からないかと思ってここに来たが・・・」
「貴方、元医者だったんでしょ?何故もっと早く逃げなかったの?」
「ここは私達の国だ。何で奴らに追い出されなければならんのだ?そう思うとな、逃げ出す気になれなかった・・・今では後悔しとる・・・」
「ここだ・・・」
神父はそう言うと扉の前で足を止めました。そして2人に向き合うと念を押すかのように言いました。
「ここから先は覚悟がいる。どの様な光景を見ても気をしっかり持ってくれ。頼む」
神父は2人の表情を見ながら扉を開けました。そこには・・・
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