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大人達への物語 ここに愛はありますか? ②

  • white-eagle1958
  • 1月21日
  • 読了時間: 3分

更新日:1月24日

2021.03.26


夕暮れ時、太陽がその光を徐々に消して行く頃、3台の大型警察車両がその街の警察署に停まり、十数人かの人を吐き出しました。何れも女の人で、丈の短いスカートを履き、足を長く見せています。女の人達は数人の警察官に囲まれ、警察署に入って行きました。ここはこの国最大の街の警察署であり、24時間眠らない街に相応しく昼も夜もその活動が止むことはありません。今日もひっきりなしに警察車両が出入りしていました。

「なんだよ、ポリ公。あたい達が何したって言うのさ?男と話していただけじゃないのさ。

それで一々引っ張られたんじゃ、こっちは溜まんないよ」

「まったくだ。とんだとばっちりだ。俺はまだ仕事が残ってんだよ。取り調べなら早くすましてくんな」

初老の小男が警官に噛みつきました。

「ギャアギャア喚くな。調べが済んだらすぐ放してやる。サッサと中に入れ」

女達はそれぞれ不服を隠そうともせず、取調べ室の中に入りかけた時、子供の声がしました。

「あのう・・・」

皆一斉に振り返るとそこには、一人の黒人の少年が立って居ました。

「何だ?坊主・・・また来たのか?言っとくが、ここには正義なんてものはないぞ。そんなものとっくに消え失せているからな。ここに来たって無駄だって事さ」

「そうじゃないんだけど・・・」

「そうじゃない?じゃ坊主、何しに来た?」

「あのね・・・」少年は、警察官、女達、初老の男を前に、一呼吸おいてこう言ったのです。

「ここに愛は有りますか?」

一瞬、目を丸くした女達でしたが、すぐに大声で笑いだしました。

「こりゃあ良いわね~傑作だわよ。あたしらね~、そんなものとっくに諦めてる。それよりお金が欲しいのよ。あたしらは男が愛とか言ってるものと引き換えにお金を稼いでるの。

分かった?坊や。だからあたしらは言うのよ、愛が欲しけりゃ金出しなって」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

マイケルは何も言えなくなりました。女たちは次々と取調室に消えて行きました。

「おい、あんた。俺の順番は何時になるんだ?」

「ヤスか・・・あんた、また警察車両に小便引っかけたって?」

「あのお廻りが、いきなり捕まえてあの車に押し込もうとしたからよ。こっちの話なんかまるで聞こうとしねえ。だからよ」

「・・・お前は一番最後だ」

「そうかい・・・所でビリーの旦那は居るのかい?」

「・・・あの問題児は今は此処じゃない。麻薬捜査だ。此処にはいない」

「いつ戻って来るんだ?」

「あの問題児に何とかしてもらおうとしたって無駄だ。お前は一番最後だ。それまで留置場だ」

「・・・そうかい」

ヤスは警官へ連れられて、留置場へ向かいました。が途中で足を止め、振り向かず思い出した様に言いました。

「ああ、それからな。坊主の探しているもの、欠片ぐらいは見つかるかもな・・・」

「えっ、それ何処にあるの?」

ヤスは歩き出しましたが、それ以上何も応えてくれませんでした。

「自分で見つけろって事か・・・」

マイケルは考え込みましたが判らず、

「お巡りさん、愛の欠片ってどこにあるか分る?」

「さあ、何の事だかサッパリだ・・・だがもう帰りな。俺には良く判らない・・・」

マイケルは下を向いたまま、警察署を出ました。そこには幾人かの子供達が屯っていました。皆警察署の方を見つめています。

(この子達は何だろう?)

マイケルは不思議そうに子供達を見つめ、通り過ぎて行きました。夜空には大きな月が浮かび、皆を照らして居ました。マイケルは月を見上げ、また歩いて行きました。









 
 
 

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