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大人達への物語 ここに愛はありますか? ③

  • white-eagle1958
  • 1月26日
  • 読了時間: 3分

更新日:1月31日

2026.01.26


(ここは一体何処だろう?)

気が付くと少年マイケルは小高い丘の上に立ち、そこから不思議な光景に出会いました。

その先には見渡す限りの小さな仏立像。それが視界を埋め尽くして居ました。中央の奥には一際大きな仏像が錫杖を持って立って居り、この世界を、今にも雨が降りそうな曇天が覆っていました。

(あそこに行けば、何か判るかもしれない)

マイケルは仏像目指して歩き始めました。が、仏像のエリアに入ろうとした時、声が聞こえたのです。

「少年よ、そこから先へ入ってはいけない」

マイケルは足を止め、大仏像を見つめて言いました。

「どうしてですか?貴方は誰ですか?ここは一体何なんですか?一体どう言う所なんですか?」

「少年よ、そう一度に聞くものではないよ。順を追って話そう。何から話す?」

「・・・貴方は誰ですか?」

「私か・・・私はこの子達の親代わりだよ。生まれる事無く、君の世界を知る事も無く、命を絶たれた子供達のな・・・君の世界では水子地蔵と呼ばれている・・・」

「水子地蔵・・・」

マイケルはそう言った切り、言葉を失いました。見渡す限りの小さな仏立像が、何を意味するのかが分かったからです。

「こんなに・・・」

地平線の向こうにまで続いていると思われる光景に、マイケルは唖然とするばかりでした。

「今度は私から聞こう。君は誰で、何しに此処へ来たのかね?」

「僕はマイケル。探したいものが有って歩いてたらここに来たんだ」

「ほう、探したいものとは?」

「水子地蔵さん、ここに愛は有りますか?」

水子地蔵は一瞬言葉を失い沈黙しましたが、やがて静に語り始めました。

「少年よ、私にはその問いに答える事が出来ない。御覧なさい。この小さな仏様達を・・・

この子達は生まれる事無く命を絶たれた・・・人間の様々な事情によって・・・

或る者は貧しさゆえに、子供を育てられないと言う理由により。

或る者は犯罪被害の結果によりだ。

そこには、人間の苦悩がある。悲しみがある。

これをどうやって止める事が出来るのか?

考え続けてきたが、私には増え続ける仏様を受け入れる事しか出来ないのだ」

「余りに悲しすぎるよ・・・それは・・・何とかならないの?」

マイケルの目頭が熱くなりました。

「それでもな、時折心が和む時がある。見てごらん」

その時、雨が降りそうな曇天を貫いて数条の光が幾つかの仏様を照らし出しました。

その仏様の御膳には、花束や、おもちゃや、お菓子が載せられていました。

「その子の親達が、思い出してくれているのだろう・・・小さな命を忘れないでくれている・・・それがある限り、私のこの仕事にも意味は或るのかもしれないな・・・」

水子地蔵さんはそれきり何も語ってはくれませんでした。

「愛って何だろう・・・」

マイケル少年はそう言って、その場を離れて行きました。











 
 
 

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