ショートストーリー 女が消えた日
- white-eagle1958
- 10月4日
- 読了時間: 2分
2025.10.04
テレパシーと言うのが、御座いますな。離れていても人の思いを知る事ができる。
そういう能力の事だそうで・・・
男と女でテレパシー能力に違いがあるとも言われておりますな。
一般的には、男は発信能力が強く、女は受信能力が強いそうですな。
ですから、男が良からぬ事を考えていると、女にそれを知られてしまうのでしょうな。
これはこう言う事もあるかもと言うお話です。
何時ものように大家さんが縁側で煙草を燻らせていると、魚屋の八つぁんが腕を組み、俯きながら入って来ました。
「おい、どうしたい?八つぁん。この世の終わりが来たみたいな顔をして。また女に逃げられたのかい?」
「おいら、どうしたらいいのか判んねえ・・・聞いてくれ、大家さん、会いに行く女にまったく会えねえんだ。まるで神隠しに遭ったみてえに」
「おい、おい、それじゃなんだか分らんよ。詳しく話してごらんよ。一体何があったんだい?」
「いえね、初めは浜屋のなみさんに会おうとしたんでさあ。それが行っても会えない」
「お前さんが横恋慕してるって娘さんだろ?留守だったんじゃないの?気にする事は無いだろ?」
「おいらもそう思って、次にね、高屋のみっちゃんに会いに行ったんだけど・・・」
「そこでも会えないと・・・偶然じゃないのかい?それとも2又かけてたのかい?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「かけてたのか・・・」
「それでね、今度はおたかさんの所へ行ったんだけどね」
「やっぱり会えないと」
「こうなると気になるじゃねえですか。それで今度は片っ端から会いに行ったんですよ」
「誰に?」
「え~と、お春さんとまつりちゃんとゆりさんとおゆいさんととうこさんと」
「お前さん、一体何又かけてんだい?」
「そしたら、信じられない事に誰にも会えない。それどころか気が付いたら、見渡す限り視界から女が消えちまったってわけで・・・会えるのは婆さんぐらいなもんで。
大家さん、おいら一体どうなっちまったんでしょう?」
八つぁんは今にも泣きだしそうでした。
「八つぁん、心配ない。2又3又の掛け過ぎだ。言わば天罰だな、そりゃあ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
お後がよろしいようで・・・
「
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