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ここに正義はありますか?

  • white-eagle1958
  • 2020年11月12日
  • 読了時間: 2分

更新日:2020年11月14日

2020.11.12

「なんてこった、こんな事が起こるなんて!」

居間から突然響いた、お父さんの大きな声が、大好きなゲームをしていた少年の手を止めました。なんだろうと覗き込んでみると、そこではお父さんがテレビでニュースを見ていました。

「どうしたの?」

「どうもこうもあるか!これを見ろ!」

お父さんは怒りの叫びと共に、テレビを指差しました。

そこに映っていたのは、黒人男性が警官に首元を押さえつけられ身動きもできず、苦しみ藻掻いている姿でした。

「息ができない・・・」黒人の野太い声が漏れ、周りから聞こえてきたのは、

「もう止めろよ。放してやれよ。」

「酷い・・・」の声。

次第に黒人男性の目が虚ろになり、光が失われ、身体中が痙攣した後、動かなくなりました。

「また殺された。また!この間にも黒人少年が銃で撃たれた!何も持っていなかったのにだ!こんな事が何時まで続くんだ!あいつら、俺たちをまるで鹿かバッファローの様に撃ちやがる!何でこんな事が許されるんだ!俺達は獣じゃない!俺達だって人間だ!

同じ人間なんだっ!クソッ!」

叫ぶなりお父さんが、両の拳をテーブルに力の限り叩き付けた途端にコップが跳ね上がり、大きな音を立てて砕け散りました。

お父さんの目には涙が浮かび、声も、唇も震えていました。

「この国はおかしい!どこか狂っている!いつも同じことの繰り返しだっ!けどどうしようもない!この国には、正義はないのか・・・」

「あんた・・・」

俯くお父さんの背中に、お母さんがそっと手を添えました。

「お父さん。大丈夫。僕、正義を探して持って来る!」

言うなり少年は、デイパックを掴むと外へ飛び出して行きました。

「えっ!あ、おい、ちょっと待てって。」

少年の姿は、もうどこにも見えませんでした。

「あいつ、どこへ行くつもりなんだ?」

「さあ・・・?」

二人は顔を見合わせました。

「一体、誰に似たのかしらね・・・」

お母さんはお父さんの顔をみながら、ポツリとそう言いました。




 
 
 

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