笑い話 ライバル
- white-eagle1958
- 2022年2月6日
- 読了時間: 2分
2022.02.06
或る武道の達人の所に、一人の青年がやって来ました。相当鍛え上げたらしく、鋼の様な筋肉で全身が覆われています。
「おいお前、俺と勝負しろ!」
「何だね?藪から棒に・・・」
「お前は、世界で一番強いそうだな?」
「まあ、世間じゃそう言われているみたいだがな・・・」
「そんな話も今日で終わりだ。今日から俺が世界で一番強い奴になる!」
「そうか。強い奴になるか・・・で、お前さん、名は何と言う?」
「俺か?俺は#$%&*+@だ。よーく覚えとけ!」
「は?#$%&*+@?聞いた事ないな。有名なのか?私のライバルの中にも居ないようだが・・・」
「此れからお前を倒して有名になるんだよっ!四の五の言わずにサッサと俺と勝負しろっ!」
「うーん、余り気乗りしないんだけどねえ・・・」
「うるさい!それならこっちから行くぞっ!」
青年は言うや否や達人に飛び掛かって行きました。猛牛の様な突進が、達人の小柄な身体に触れたかに見えた一瞬、青年の身体が宙を舞い、大地に叩き付けられました。
青年の眼には澄んだ青空が見えていました。身体が軋み、思わず苦悶の声が洩れました。
(何で俺は寝っ転がってんだ?一体何が起きた?クソッ!)
青年は起き上がるや、再び達人に突進しましたが、またまた青年の身体が宙を舞ったのです。身体がバラバラになったかのような激痛が走り、青年は大地に沈みました。
「まだやるかい?若いの?」
「・・・俺は、どうしてもお前に勝ちたいんだ。どうしてもお前に勝たなきゃいけないんだ。だから」
「だから?」
「お前に勝つ方法を教えろ!」
「本気か?」
達人は呆れた様に言いました。
「本気も本気だ」
「お前さんは私のライバルになるつもりなのか?」
「ライバルじゃない。お前を叩き潰すんだ」
「そんなに勝ちたいのか?」
「どうしても勝ちたい」
「なら、自分で考えるんだな。勝ち方を教わると言う事は、その時点で負けを認めると言う事だよ。若いの」
「そんなの認めない。絶対に認めない!」
青年は大地に横たわったまま、達人を睨み付けました。
「では、勝手にするんだな。だがな、そのままじゃ私に勝てんよ。また、私のライバルにもなれんな」
そう言うと、達人は青年を置き去りにして行きました。
辺りには、青年の悔し気な咆哮が響き渡りました。
コメント