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小説 四次元パンツ ⑨ 空からパンツが降ってきた

  • white-eagle1958
  • 2024年6月1日
  • 読了時間: 3分

更新日:2024年6月7日

2024.05.29


「うわああああああああああああ」その警察官は驚愕とも恐怖ともつかない(多分両方)絶叫を上げ、野球の打者の如く網を振り回しました。ただのパンツだと思っていた代物から、いきなり人間の腕らしきものが飛び出てきて、網の柄を掴んだのですから。

「な、な、な・・・・・・」それ以上声が出なくなったと見えて、警察官はパンツを振り切ろうと必死になり、網を大きく振りかぶり、思い切り振り回しました。

それを待ってたかの如く、パンツは柄を離し特大ホームランの様に空高く、大きな弧を描いて飛んで行ったのです。小さくなって遠ざかるパンツを見送りながら、

「ありゃ場外だな・・・」

「大リーガーもびっくりだ・・・」警察官も野次馬も唖然として呟くだけでした。


「なあ、待ってくれよ、待てったら」耳ピアスの若者が、彼女と思しき20代女性の後を追いかけていました。機嫌を損ねたらしい彼女は、見向きもせず足早に歩を進めていきます。

「そんなに怒るなよ、判ったからあ」若者が彼女の肩に手を伸ばそうと近づいたその時、二人の間に何かが割るように落ちてきたのでした。よく見るとそれはチェック柄のパンツでした。

(なんだ、このパンツ?どっからやって来た?)そう思って見ていると、パンツの落下が止まりました。

(止まった?何故?)耳ピアスの若者の目は、最初不思議そうに様子を眺めていましたが、次第に恐怖に染まって行きました。その目が信じられない物を捉えていたのです。

パンツから人間の腕が伸び、彼女の肩を掴んでいました。

「あ、あ、・・・」若者はそれだけ言うのがやっとで、後は凍り付いた様に動けなくなりました。

「痛い、離してよ。それ以上やったらホントに怒るわよ」彼女は肩に置かれた手を掴んで振り向きました。

「えっ」状況がしばらく飲み込めない様子でした。彼女は手を掴んだまま、

「なんでマサオ、そこに居るの?」怪訝な顔をしました。マサオと呼ばれた若者は、彼女から3m程後ろに居たのです。

「じゃ、これ何?」彼女が掴んだ手の先に見た物は、チェック柄のパンツでした。何とパンツから腕が伸び、その手を掴んでいたのです。忽ち彼女の目が零れ出さんほど大きく見開かれ、絶叫が口から漏れ出しました。

「いや~っ!!!」と同時にパンツを若者に投げつけたのです。

「おい、待てったら」言う間もなくパンツをパスされた若者は、受け取り様もなくそのまま放置しようとしましたが、なんとパンツから伸びた手が、若者の髪を掴んで離さなくなったのです。若者はチンパンジーかオランウータンかゴリラの咆哮ともつかぬ金切り声を挙げたかと思うと、脱兎の如く、その場から走り出しました。

「待ってよ、どこ行くの?」今度は彼女がマサオの後を追いかけていくのでした。



 
 
 

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