小説 四次元パンツ ⑥ 某国営放送
- white-eagle1958
- 2024年5月28日
- 読了時間: 2分
2024.05.27
高台にある某国営放送の一室に、ニュース関係者が集められたのは、昼前の事でした。
「何ですか?局長。今忙しいんですけどね。放送まで後、一時間もないんですよ。話なら手短にお願いしますよ」
チーフディレクターの声は不機嫌そのものでした。
「分かっている。だがな皆を集めたのは、これを見て欲しかったのでな」
「皆を集めて観なければならないもんなのですか?そりゃあ」
「そう言うな。とにかく見てくれ。話はそれから」そう言うと局長はスイッチを入れました。(一体何なの?)(こんな事している暇ないのに・・・)室内は騒めきで満ちていましたが、映像が映し出されたその時から、あっという間に静まり返り、皆画面に釘付けとなりました。そこに映し出されていたのは、大勢の人の前に浮かんで進むパンツ(トランクス)なのでした。目を丸くした人々やそそくさと現場を離れる人、目の前に現れたパンツを前に目が上に挙がったかと思うと膝から崩れ落ちる(多分失神)人々が続出している様でした。
「これをどう思う?」茫然自失状態の皆を前に局長は、我に返す様に大きな声で言うのでした。皆正気に戻った様です。
「局長、これ何処から?」
「先程からSNSで広まっている映像だ。見ての通り、パンツ(トランクス)が生き物の如く飛び回っている。それも背後の景色からして渋谷のスクランブル交差点の様だ」
「スクランブル交差点って言ったらすぐ近くじゃないですか。そこでこんな騒ぎになっているのか?」
「いや~っ、そうとも限らんぞ。今時、おかしな映像なら創れてしまうからなあ・・・」
「確かに・・・」
「誰かの悪戯と言う可能性も否定できないし・・・」
「愉快犯か?」
「とにかく現場確認だ。青島あ、新米連れてレポート入れてくれ、大至急だ。出来れば12時に間に合わせたい」
「ほいきた、合点」二人は機材を背負うと忽ち部屋を後にするのでした。
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