かもさん仏教話
- white-eagle1958
- 2023年11月8日
- 読了時間: 3分
2023.11.08
私は仏教が好きでして、結構話をする事が多いです。身に詰まされる事もあります。
そんな中の話を幾つかしていこうと思います。
ある山寺に高僧が居り、2人の弟子がおりました。ある日の事、その高僧が2人の弟子にこう言いました。
「あ~っ、お前達もそろそろ1人立ちをしても良い頃だな。そこでお前達に頼みが有る」
「何でしょう?老師、頼み事とは?」
「山を下りると、村一番の金持がいるな?」
「ああ、あの強付く爺さんのけちんぼさんですね?有名だ」
「これ、滅多な事を言うでない。まったく・・・その金持爺さんの家へ行ってだな。何か盗んで来なさい」
「はあ?」
2人は顔を見合わせました。
「あの~老師?今何とおっしゃいました?」
「聞こえなかったのか?山を下りて、村一番の金持爺さんの家から何か盗んで来なさいと言ったのだよ」
「え~っ!でも」
「聞こえたのなら、さっさと行きなさい。楽しみにしているから」
そう言って老師は奥へ引っ込んでしまいました。
2人は止む無く、山を下りて行きました。
「おい、どう思う?老師の話」
「さあなあ?そんな事を言う様な老師じゃないよなあ?どうしてだろう?」
「まさか年取って、耄碌したんじゃないよなあ?」
「まさか、あの老師に限って・・・なんでだろう?」
そうこうしている内に、2人は金持爺さんの家の前に着きました。
「どうする?」
「どうするって言ったって・・・どうしよう・・・」
2人はそのまま佇んだまま、時間だけが過ぎて行きました。しびれを切らした1人が、
「え~い、俺は取りに行く。とにかく老師がああ言ったんだ。実行する。お前はどうする?」
「だけど・・・」
「何だよ、煮え切らない奴だな。どうすんだよ!」
「しかし・・・」
「もういい!俺一人でやる。お前はそこで待って居ろ!」
そう言うと1人は家の中に入っていき、やがて壺を抱えて出て来ました。
「やったぞ。此れを見ろ」
1人の弟子は嬉しそうに壺を差し出しました。
「う~ん」
もう一人の弟子は、何か釈然としない様子で呟きました。
2人はそのまま山寺に帰り、老師に報告したのです。
「よくやった」
「えっ?」
2人の弟子は驚きの声をあげました。何と褒められたのは、何も取らなかった方の弟子だったのです。収まらないのは、壺を取って来た方の弟子。
「老師!私は貴方の言いつけ通り、壺を取って来たのに、どうして彼が褒められるのですか?」
老師が答えて曰く、
「どんな立派な人の命令でも、悪事を働いてはならない」
どうでしょう?宮仕えの方々には身に詰まされる話ではないでしょうか?
この話をさらに補完しますと、老師は1人立ちする弟子たちに最後の教訓を与えたかったのだと思います。
山寺で修業をしている時には、普通弟子たちがこの様な命令を受ける事はありません。
しかし、山を下りた時には権力者たちから、この様な命令を受ける事は在り得る訳です。
例えば、邪魔な奴がいる。呪い殺してくれないか?と言ったような。
この様な場合にどうするのかが問われるのです。
突っぱねるのは中々困難でしょう。どう答えますか?考えてみて下さい。
ちなみに一つの解答例を挙げておきます。
「王様、それはダメです。それではいずれ王様もその様な目に会ってしまいます。
邪魔な者を殺すのではなく、邪魔な者を超える努力をなさっては如何でしょう?
徳の力でもって、その者を凌げばよろしいのではないですか?」
参考にしていただければ幸いです。
松戸のダンブルドアより
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